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蓮花(秋幸視点)

二人で宮の外に出たい――そう言ったら、天女は顔を曇らせた。

「どちらか、おひとりずつしか。お外に出しては差し上げられぬのですよ」
「じゃあ行ってきて。見たいんでしょ、蓮」



綺麗な蓮を見つけたから、見せてあげたかった。
昨日見たとき、蕾を見つけた。
今日の昼頃には、きっと咲いてるだろう。

「……行かない」
決まりだからと告げられて、オレは自分の足元を睨む。
天女は神に従うだけ。禁を破れば、罰が待っている。
「でも」

オレと、天女の顔を交互に見ながら、アイツはふっ……と繋いでいた手を離す。

「じゃあ、僕が行くよ」

止める間もなく、宮の外に駆け出していく後姿。
いつも、決めるのはアイツが先だ。
それをイヤだと思った事は無い。
無いけど。……時々、心配になる。
オレとアイツは違うから。
こんなにずっと近くに居ても、アイツが何を考えているのか。さっぱりわからない。

母神は忙しいらしく、オレ達は殆ど顔を見たことがない。
宮の中で、ボンヤリと空を見上げると……ほんの少し、陽が傾きかけている。
「蓮、咲いてるかな……」
「ただいま!」

一瞬、何が起きたのかわからなかった。
視界を埋め尽くす、白。
と、転々と続く……足跡。

「見たかったんでしょ?」
「だからって、おまえ」
(……全身、ずぶ濡れじゃないか)

手近に拭けそうなものがなかったから、寝台の布を引き剥がした。
あとで天女に怒られるかもしれないけど、まあいい。
頭から布を被せて、ごしごしと濡れた髪と体を拭いてやる。

「まあ! なんて事でしょう。沐浴の用意をしなくては!」
泥だらけの床を見て駆けつけた天女が、半ば悲鳴のような声を上げる。

アイツが池から引っこ抜いてきた蓮は、あとで天女が水盆に浮かべてくれた。



Twitterの参加型タグ企画「俺屍版真剣文字書き60分一本勝負」に参加したくて書いたもの。
60分ではココまでが限界でした。
苦労性というか、秋征の面倒を見る癖は幼少期から変わらず。

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