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高羽家青嵐記 番外・始祖の娘 6

そうして、月が変わり。
精進潔斎を済ませた透は、『交神の儀』の為の祈りに必要な祝詞の書かれた書付を持って、わたしの部屋へとやってきた。
嫌だと告げると、透の眉間に刻まれた皺が一層濃くなった。

「はぁ? 意味わからんわ。俺に交神行くなて。そら、相手は忍ちゃんのお母さんとは別の神さんやけど、力考えたらしゃあないやろ」
「そういうことを言ってるんと違う。透ちゃんが『交神』行くのが嫌なんや!」

討伐から帰ってくる度、頬を染めて安否を気遣うイツ花に対する、透の態度を見ていて、わたしにも察しがついてしまった。
透は、こと商売に関しては誰よりも人の心の動きを察するのが早い癖に、女の子からどういう風に見られているか、全く解っていないのだ。
これ位直接的な物言いでなければ、伝わる筈が無い。

「じゃあ何か? 舞子さんにずっと操立てえ言うんか?」
「お母ちゃんに操立てろやなんて言うてるんとちゃうわ!」

はぁと溜息をつき、目を伏せた透を見て……やっと解ってくれた――と、期待したわたしが浅はかだった。

「あのなあ。――ずっとふたりで討伐行ける訳なんかあらへんやろ。わかってんのか、忍ちゃん。自分、先月大怪我したばっかりやろがや」

返って来た答えは、わたしの予想を超えてずれている。
こうなればもう、わたしに言えることなんて一つしかない。
「嫌なもんは嫌や!」

わたしの言葉を聞いて、透の 表情が一瞬だけ険しくなるが――すぐに、諦めたような、投げ遣りな表情に変わる。

「せやったら、忍ちゃんが交神行くか? 俺は別にどっちでも――」
「知らんわ! 透ちゃんのアホ!!」

パン、と乾いた音がする。『どっちでもいい』なんて絶対に聞きたくなかった。
思いっきりひっぱたいたので、透の左頬に赤い手形がくっきりとついているのが見えた。

「痛ったー……って、忍ちゃん、どこ行くねん!」
「透ちゃんのアホ!! ついて来んといて! 透ちゃんなんか、大っキライや!!」

 

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