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紅蓮の親子

その日、R水月家は浮き足立っていた。

かつての問題児・嵐の悪行がきっかけとなり、縁結びの神社に詣でたご利益で、このたび目出度く当家に養子を迎える運びとなったのだ。
もっとも、神社に縁結びを願った嵐本人は既に他界し、この場に居ない。

「むさっ苦しくて死んじゃいそー。ああ神様、男ばかりのあばら屋に、どうか可愛い女の子を! 可憐な天使を我が家にお授けください」
と、足繁く通った嵐の願いも空しく、彼の存命中に授かったのは男児ばかりだった。
弓使いの跡取りとしては『剛鉄弓を活かしたい』とも言っていた希望が叶ったので、これはこれでよかったのかもしれない。

しかし、問題は家訓の方である。

『鹿島様の席次を上げよ』――男ばかりの家では、かの男神を交神の儀に降ろすわけにもいかず、いまだかの神の席次は4代前の当主・咲羅の代から変わり無しだった。

そこでこの度、他家から新しい血の力を当家に加える強化も兼ねて、養子縁組をすることになったのだった。

「当主様と遥(ハル)君は、養子に来る子の顔、見たんだよね? オレと同い年なんだろ? かわいい?」
「ああ、うん。元気いっぱいの、当主様みたいな紅蓮の髪色がきれいな女の子だよ」

髪の色が自慢だというだけあって、遥は相手を褒める時も、目がいくのは髪らしい。
最年少の哀(アイ)は、妹ができると大喜びだ。

来月には、もうひとり……先々月の交神の儀で授かった子供が家にやってくることになっている。

「こら、サボってないでしっかり掃除しなさい。遠い異国からはるばる旅をしてきてくれるのだから、失礼のないようにお迎えしなくては」
「そうだぞ。男所帯の埃まみれを許容してきた、これまでとは訳が違うのだからな」

炎がやんわり息子を窘めるが、ハタキを片手に持った初代が後ろから顔を出すと、思わず皆は背筋を正す。

二つの呪いをその身に受けた一族の始祖。
とうの昔(といっても、京の街の人間からすればほんの数年前の出来事に過ぎないが)に天に召されているのだが、
他の者と違い、一族の始祖として生を受けた者は……あの世へ旅立つことも、生まれ変わることもできないらしい。
始祖本人が、あまりにあっけからんとしているので、一族の皆もそう深刻に捉えなくて済んでいる。

始祖曰く「早い話が『成仏できずフラフラしている暇な先祖』というわけだ」とのことだが、きっと何か事情があるのだろう。
本人の言を信じるなら『暇だから』ということで、初代は一族の祝いの席や葬儀など、節目の出来事には必ず顔を出していた。
そして今日も、例に漏れず、養子縁組の成立を祝う宴の準備を手伝っているのだった。

「可愛い子らの晴れの日は祝ってやりたいからな。縁組や結魂が決まったときは、私からも祝いの言葉を贈らせてくれ」

以前、嵐と炎を養子に出したときと同じように、遥もまた、初代の祝いの言葉を胸に旅立った。
――もっとも、遥の場合は「目の前で分身を作りだす」という度肝を抜かれる出来事がついてきたのだが。

嵐たちを送り出したときと違い、そこそこ時間が経っているはずなのに体が透けない所をみると、
どうやら分身を作り出すのは初代にとってさして負担になる術ではないらしい。

遠き異国――矢楽家に旅立ったのは分身の方の遥なので、こうして遥は変わらずここにいるというわけだ。

「当主様、養子ってどんなカンジなのかな?」
「そうだな……おれは、嵐ちゃんと違って生きとるから、『魂の奥津城』へ行く事はできひん。知りようが無いわ」
「ふうん、そうなんだー。っていうか、当主様、言葉」
「うわー! 紅音ちゃんが来たときドン引きされんように、気ぃつけとかんとなぁ」

当主に指名されたとき、嵐に言葉遣いを改めるように指摘されて以来、極力きちんとした口調を心がけているのだが、
炎はごくまれに、京の下町というよりは浪速のあたりに近い訛りが出てしまう。
前世が関係しているらしいが――本当のところどうなのかは、神のみぞ知るところだろう。

遥に指摘され、がしがしと髪を掻きながら、炎はふと玄関を見遣る。
イツ花が慌てて駆けていくところを見ると、どうやら待ち人が来たらしい。


張り切る初代の手伝いもあり、ピカピカに磨き上げられた家。
朝からイツ花と、浪・雹が腕を振るってくれたお陰で、歓迎の肴も準備が出来たようだ。

「紅音(アカネ)と申します。この命果てるまで、R水月家のために働かせていただきます!!」
「なんと……愛らしい……!」
「わあ、可愛い。うちは男ばっかだから、紅音ちゃんみたいな元気な妹ができて嬉しいな。これからよろしくね」
「紅音さん、これからよろしくお願いしますね。こちらは哀。私の息子ですから、紅音さんとは兄弟になりますね。仲良くしてやってください」
「うん! あたしも弟ができて嬉しいな!」
「え、オレが弟なのか?!」

妹が欲しかった哀は、ほんの少しだけガッカリしているようだが、紅音が嬉しそうにしているので、紅音が姉・哀が弟ということで当家の序列は決まった。

「ごめんね、紅音ちゃん。見ての通り、うちは男所帯だから色々と至らないこともあると思うけど……何か困ったことがあったら、イツ花ちゃんでも初代様でも、遠慮なく呼び出してくれて良いからね」

口調はやんわりしているものの、忌憚無い物言いは、海から浪にしっかり受け継がれてしまったらしい。
もっとも、初代本人は全く気にしていないどころか、久々の女子の来訪で蔵の着物が活かせると大喜びしている。

「おっといけない、忘れる所だった。紅音、遥、こちらへ」

初代に手招きされ、二人が近寄ると、初代は小さな守り鈴を取り出した。

「神社の守り鈴なんだが、巫女さんに『お子様にお渡し下さい』と言われたんだが、どちらも可愛くて私には決めかねてな。
どの形を選ぶか、君たちが決めてくれないか?」

守り鈴は、金に羽をあしらった揃いの福鈴と、男性用と女性用で意匠の異なる鈴の二種類があった。

「わ、可愛いね。これ、僕たちが貰っていいの?」
「わあ、可愛い! どうしようかな。すずらんの形も可愛いけど、それだと遥にいちゃんのは形違うんだよね?」
「そうだねー。紅音ちゃんとお揃いにするなら、こっちの羽の付いたのも良いんじゃないかなあ? 羽って、元気いっぱいな紅音ちゃんによく似合うと思うよ」

お揃いにしなくてはいけないという決まりがあるわけではないので、紅音にすずらん鈴、遥に男性用の銀鈴でも良かったのだが、せっかくのご縁だから……と、遥は紅音とお揃いの羽をあしらった神鈴を選んだ。
初代から受け取った鈴を、遥は紅音の髪に編みこみ、自分の分は帯に留める。
嵐と違い、髪飾りをつける習慣のない遥にとっては肌身離さず身に着けるには、帯止めの方が向いている。
鈴を渡したところで、初代はまた常世の国へと帰って行った。



新しく一族の子供を迎え入れたときの慣わしで、一同はぞろぞろと連れ立ってなじみの幻灯屋へと向かった。
ほぼ真ん中に炎。右隣に遥、浪、雹。紅音の隣は皆が並びたがったが、ここは当主と義兄弟の哀が並ぶことになった。
今は十一月だが、待望の女の子を迎えたお祝いも兼ねて、少々値は張るがかわいらしい薄桃の「ひなまつり」枠を選ぶ。

「はいどうぞ。紅音ちゃんの分」

幻灯は何枚かまとめて刷られるしくみなので、記録として残す分と、当主が手記に貼る分の他に、記念撮影した一族の皆にも一枚ずつ配られることになっている。

「うわあ! イケメン!! イケパラー!!」
「い、池?」

帰宅して、出来上がった幻灯を箱に収めようとしていた炎の手元を見て、紅音がキラキラと目を輝かせている。
よくわからないが、以前撮った幻灯が気に入ったらしい。
先々代の当主・侑は、幻灯を墓に持っていく性分では無かったので、生前侑が持っていた幻灯が一枚余っていた。

「こんなもので良ければ、紅音さんにも一枚差し上げましょうか?」
「本当? わーい! ありがとう、当主様!!」
(……かわいいなぁ。嵐ちゃんにも、会わせてあげたかったな)

まだ少し、お互いぎこちないけれど。
いつか自分と紅音も、嵐と遥のような親子になれれば……と願う。

元気いっぱいで、溌剌とした笑顔の似合う養女を前に、来月から来る浪の子供とともに、強くまっすぐに育ってくれれば良い――と、炎は思った。

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